気づいたら10年打ち込んでいた元スケーターの備忘録

元大学生フィギュアスケーターが10年間のスケート人生を通じて感じたことを、当事者ならではの視点から書いたり、そんな私の感性に刺さったモノを紹介します。

フィギュアスケートの魅力① 輝く個性

私が感じるフィギュアスケートの魅力を数回にわけて挙げていきたいと思います。

 

その人の個性が表れる演技

フィギュアスケートは、スポーツです。

しかし、ただ「速さ」「高さ」「強さ」などを競うだけでなく、

そこには様々なことが絡み合っています。

 

ジャンプやスピンといった技の難易度、技の組み合わせ、体の使い方、

表情、目線、使う曲、衣装、ヘアメイク

ざっと挙げただけでもこれほどの項目があります。

 

1つのプログラムを作り、試合で演技をするにあたり

「技の点を稼ぐためにこの組み合わせの技をしよう」

「この曲の世界観を表現するにはこの衣装のデザインの方がいい」など

1つ1つの項目について、何が最適かを考え

その集合体が1つの演技となっているのです。

 

技には「このジャンプをすれば何点」のように明確な基準がありますが、

衣装やメイクといったものは、「この曲でこの色の衣装だとプラス何点」のような

基準があるわけではありません。

しかし、そのような項目も、演技全体の表現の一部として

さらには自分自身がプログラムに入り込むためにも重要なことなのです。

 

 私自身も、「この試合は絶対にミスできないから難しいジャンプはやめておこう」

「この曲のイメージだとメイクはこんな感じにしよう」

などと考えながらやっていました。

 

こうなってくると、当然演技は人によって違うものになります。

同じ技をしているのに身のこなしが違ったり

同じ曲を使っていても、衣装によって受け取る印象が変わったり。

 人によっても違うものになり、同じ人でもプログラムによって違う印象にもなります。

 

フィギュアスケートはスポーツでもあり、芸術でもあるとよく言われます。

プログラムを通して、その人がきれいに見える体の動かし方や得意な技、

挑戦している曲調の表現など、その人の個性を感じることができます。

 

もちろんスポーツなので、試合ではほかの人と競うことになりますが、

自分が目指す演技ができなければ上位に入ってもあまり嬉しくない、

ということも起こりえます。

 

それぞれの人が、最大限に自分の力や個性を発揮し、その上で順位を競う。

そのような試合には、単純に順位では片づけられない何かが存在し

私はそれに魅了されているのです。