気づいたら10年打ち込んでいた元スケーターの備忘録

元大学生フィギュアスケーターが10年間のスケート人生を通じて感じたことを、当事者ならではの視点から書いたり、そんな私の感性に刺さったモノを紹介します。

一流フィギュアスケーターのアイスタッツと、名もなきスケーターのレッスン券

今回は、フィギュアスケートの世界におけるIT化・技術化について、考えてみます。IT化・技術化という表現が正しいのかはわかりませんが、そういう類の話なのではと思います。

 

私がずっとスケートを続けてきた環境から、トップレベルの選手にまで広げて考えてみると、笑ってしまうような気づきがありました。

 

ここ数年、フィギュアスケート全日本選手権などの試合のテレビ放送では、「アイスコープ」や「アイスタッツ」が導入されています。「アイスコープ」は、ジャンプの飛距離や高さ、着氷速度を可視化することができ、「アイスタッツ」は、選手が滑った軌跡を速度とともに可視化することができる技術です。

〈以下、参考ページ〉

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000027294.html 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000027294.html

 

目の前の選手の滑りありのままを見るだけでなく、最先端の技術を活用して、こんなふうにフィギュアスケートを楽しむこともできるのか、と驚きました。

 

「最先端の技術」を感じながらふと思い出したのは、自分がスケートをしていたときの「レッスン券」です。「レッスン券」を当たり前のように長年使っていた自分のスケート環境を考えると、アイスコープやアイスタッツというものは、違和感とも呼べるようなものだと感じました。

 

「レッスン券」について詳しく振り返ってみると...

 

スケートをする(習う)上でかかる費用のひとつに先生の月謝代があります。私はこれを「レッスン券」で先生に渡していました。レッスン券は紙幣と同じように、1枚で1,000円、10,000円があり、月謝が13,000円だとすると、1,000円のレッスン券が3枚と10,000円のレッスン券が1枚、ということになります。

 

毎月の流れはこんな感じです。先生から今月の金額が書いてある月謝袋をもらう→受付でその金額を払い、レッスン券を購入する→一枚一枚に自分の名前を書いてそのレッスン券を月謝袋に入れて先生に渡す

 

月謝袋というのは、恐らく皆さんがイメージするようないわゆる「月謝袋」です。笑 レッスン券という名前が付いていても、実質現金と変わりません。

 

当然、自動引き落としで支払っていた費用もありました。なので、このレッスン券制度には、この方法で行うべきもしくは行った方が良い理由があるからこそ、何年もこの方法が採用されているのだと思います。ただ、その理由は先生に聞いたことがなくわからないのですが...

 

レッスン券制度だと、レッスン券を印刷するコストやその管理のコストがかかります。最終的に先生の元に金額が支払われたらレッスン券は捨ててしまうとすれば、なんだかもったいないような気もしてしまいます。

 

そして、先生に渡す前にレッスン券1枚1枚に名前を書く、ということが地味に毎月面倒でした...。スケートリンクに行ったら、一刻も早く靴を履いて練習したいのに、自分の名前を何回も書いている暇はない!!という気持ちでしたね。

 

最初は律儀に漢字で下の名前まで書いていたのですが、途中から、カタカナで名字だけという最も書く手間が楽な方法にしました。特に先生からのツッコミもなかったので、最初からそうすればよかった...と思いました。

 

今になって考えてみると、手書きではなく印鑑でも良かったのかもしれないですね。一瞬でポンと押せばよいのです。ただ、学生の頃は、日常生活で印鑑に触れる事はあまりないので、そんな発想は1ミリも浮かばなかったのですが。

 

フィギュアスケートのトップレベルの選手が映し出される世界では、最近になりアイスコープやアイスタッツという技術が導入されるようになっていても、名もない1人が浸ってきたスケートの世界では、「レッスン券」が使われてる。

 

単純に直線状の対極では表せない構図だとは思いますが、そのギャップというか違いというか、に気づいたときに面白いなぁと感じたのです。